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『正欲(朝井リョウ著)』を読んだ。面白かった。

『正欲(朝井リョウ著)』を読んだ。面白かった。

ほんびより

朝井リョウさんの小説『正欲』を読みました。

この作品は、朝井リョウさんの作家生活10周年記念として書き下ろされた長編小説です。

わたしは、この小説がどんな内容なのか、全く知らないまま読みましたが、とても興味深い内容で、面白かったです。読むことが出来てよかったです。
読み終わった後は、しばらくこの本の余韻で酔ってしまうくらい、印象的な内容でした。

冒頭の文章は、輪郭がつかみづらく、難しそうで、最初の読むハードルがありました。
しかしそれはすぐにおわります。わたしのようにハードルを感じてしまう人はすこしだけがんばってください。

多様性、という言葉が生んだものの一つに、おめでたさ、があると感じています。

正欲 朝井リョウ著 P6


多様性という言葉に、おめでたさを感じる。
という部分がひっかかりました
ひっかかったというのは、悪い意味ではなく、興味深く感じたという意味です。
なんだか、この文章に、共感できる気がしたのです。
どうして共感できるのかはうまく説明できないけれど・・・。

小説家は、すごいなとあらためて感じました。
説明できないけれど、ひっかかる気持ちを、素通りしません。
きちんとスポットライトを当てて、言葉で分解してくれます。
わたしがどうしてこの言葉に共感できたのか、登場人物たちが語ってくれます。

この小説は、フィクションですが、まるでノンフィクション、現実の世界を読んでいる気持ちになりました。
物語を読んでいるというより、現実で考えたい問題が、頭の中でたくさん動く作品でした。

参考文献も読んでみたくなりました。

朝井リョウさんの小説は、いくつも読んだことがあります。
初期の作品の、『桐島、部活辞めるってよ』と『チア・男子』が特に印象に残っています。
読んだのはだいぶ前なので、記憶違いもあるかもしれませんが、文体が、特徴的だなと感じたのを覚えています。
若い、今っぽい、大学生が自然と使っているような言葉で、作品が描かれていました。
文体のおかげで、作品の世界にはいりやすかったです。
それらの作品は、当時しか書けない作品だっただろうなと感じます。
その時代に、その年齢が重なって、生まれた作品。
今回読んだ『正欲』も、この時代だから生まれた作品だと感じました。

「今」だから、生まれる作品。それを、「今」読むことができてよかったなぁと、かんじました。

同じようなことを、最近読んだ『推し、燃ゆ。』でもかんじました。あれは、「今」の小説だなぁと感じました。「今」読めて楽しかったなぁと。

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